はじめに|静けさの中で、自分自身と出会う旅
カンボジア北部にあるプレアヴィヒア寺院、ベンメリア遺跡、コーケー遺跡。
今回はこの3つの神殿を巡るツアーに参加しました。
観光地としてはまだ静かな場所が多く、喧騒を離れて過ごすにはぴったりの行き先です。
これらの場所には、それぞれ異なる空気とエネルギーが流れていて、
ただ訪れるだけで、自然と自分の内面に意識が向くのを感じました。
今回は、スピリチュアルな視点も交えながら、この旅の記録を残したいと思います。
プレアヴィヒア寺院|標高625mに立つ天空の神殿
最初に訪れたのは、世界遺産にも登録されているプレアヴィヒア寺院。
カンボジアとタイの国境近く、山の頂上に築かれたヒンドゥー教の聖地です。
車で山道を登った先に、長い参道と石造りの門が続きます。
高台に立つと、遠くの地平線まで見渡せるほどの景色が広がり、
その風景の中にただ立っているだけで、自然と呼吸が深くなっていきました。
ここでは、過去や未来を考えるよりも、
今どこに立っているのかという現在地に意識が戻ってくるような感覚がありました。
ベンメリア遺跡|森と静けさに包まれる記憶の場所
次に向かったのは、ベンメリア遺跡。
シェムリアップ郊外に位置し、アンコール・ワットと同じ時代に建てられたとされる寺院です。
特徴的なのは、修復されていないその姿。
崩れかけた石の間を木の根が包み込み、自然と遺跡がひとつになっていました。
観光地というよりも、森の中にある静かな祠を訪ねたような印象。
歩いているうちに、自分の内側の感覚が少しずつ開いていくのがわかります。
ここでは、これまで意識の奥に沈んでいた記憶や感情が
ふと浮かび上がるような時間がありました。
それを無理に手放すのではなく、そのまま受けとめて静かに流していくような、
そんな穏やかな癒しが起こった場所でした。
コーケー遺跡|森にひっそりと佇むピラミッド型神殿
最後に訪れたのは、カンボジアの中でも秘境と呼ばれることの多いコーケー遺跡群。
かつて王都が置かれていたこの地は、30以上の神殿跡が点在しています。
その中心にあるプラサット・トムは、
珍しいピラミッド型の神殿で、階段状に積み上げられた石の構造が印象的でした。
周囲には人も少なく、森の静けさの中で石段をゆっくりと登っていくと、
自然と意識が整っていくような感覚になります。
頂上からの眺めは、壮大というよりも静寂。
この場所で感じたのは、今この瞬間に意識を戻すことの大切さ。
旅の締めくくりに、心が落ち着く場所に導かれたように感じました。
三つの聖地を巡って感じたこと
今回訪れたプレアヴィヒア、ベンメリア、コーケーの三箇所は、
それぞれがまったく異なる空気感を持ちながらも、
順番に巡ることで、自然と心の流れに段階が生まれていったように思います。
プレアヴィヒアでは、自分の位置を見つめ直す時間
ベンメリアでは、静かな余白に身を置くことの心地よさ
コーケーでは、中心に戻っていく感覚と、再スタートの準備
派手な感動ではなく、静かな変化がじんわりと積み重なるような旅でした。
これから訪れる方へ
これらの遺跡は、シェムリアップからの移動に時間がかかるため、
1日で3箇所すべてを巡るツアーに参加するのがおすすめです。
ただ、いずれの場所も観光客が多くはなく、静かに過ごすことができました。
午前中や夕方など、日差しが柔らかい時間帯が特におすすめです。
歩きやすい靴、帽子、水分補給のための飲み物を忘れずに、
無理のないペースで巡ってみてください。
おわりに|旅の余韻として残るもの
この旅で印象的だったのは、
それぞれの場所に強い印象がありながらも、
それを言葉にしようとすると、どれも静かな感覚として残っていることです。
特別な出来事が起こったというよりも、
自分の中に静かに戻ってくる時間があった、そんな旅でした。
カンボジアには、まだ知られていない魅力的な聖地が多く残っています。
もしこの3つの遺跡に惹かれるものがあれば、
それは、あなた自身の中にある静かな部分が、そっと動き始めているサインかもしれません。